
今回考えるのは、ナンピン買いを使った戦略についてです。
投資経験者なら誰もが知っているナンピン買い。
一般的には悪手と捉えられることが多く、初心者がやりがちな失敗例としてよく取り上げられます。
ナンピン買いは絶対にするな!と解説している本やブログをよく見ます。
でも僕の考えは、割と逆です。
むしろ、投資で勝っていくためには絶対に必要な戦略とさえ考えています。
目次
ナンピン買いとは
ナンピン(難平)買いとは、保有している銘柄の株価が下がったときに、さらに買い増しをして平均購入単価を下げることです。例えば、6,000円で100株買った銘柄が、5,000円に下がったときに100株買い増しをしたとすると、1株当たりの平均購入単価は5,500円になり、利益が出る水準が下がります。これをナンピン買いといいます。ナンピン買いは株価が上昇トレンドにあって、一時的に下がったときに行うと有利になる可能性の高い投資手法ですが、下落トレンドの途中では損失をさらに大きくすることにもなりかねません。
引用元:SMBC日興証券 公式サイト
取得単価を下げられるため、株価がその後上昇すれば最初に買った時の株価まで上がらなくとも含み益に転じることが出来ます。
ですが、ナンピン買いした後も株価が下落の一途を辿るようなら、損失の膨れ上がるスピードが倍増する点については十分注意しないといけません。
ナンピン買いして良いのは、あくまで将来的に株価が上がると信じられる銘柄だけです。
初心者がやりがちな失敗
根拠なくひたすらナンピン買いする
適当なところで上昇を期待して買ったが、その後株価はどんどん下落。
損切りしようか迷っているうちにどんどん損失は膨らんでいく。
とりあえずナンピン買いして取得単価を下げつつ、株価の反発をじっと待つ。
しかし無情にも、自分の思惑とは反対に株価はさらに落ち込む。
さらに買い増し。
買い増しを繰り返すうち、自分のポートフォリオをおいてその銘柄が占める割合が大半となってしまう。
膨れ上がる損失。
その時点で、自分が当初その銘柄を買おうと決めたときの根拠(テクニカルもしくはファンダ要素)はすでに崩れている。
最後は極大に膨れ上がった損失に耐え切れず、無念の損切り・・・。
このパターン、多くの人が経験しているのではないでしょうか?

損失を受け入れたくない気持ちが災いし、とことんドツボにはまりました・・・。
株式相場から退場してしまう人は、この無茶なナンピン買いによるものがほとんどです。
失敗のポイントとしては以下の通り。
- 最初に買ったときの根拠が失われているにも関わらずナンピン買いをしている
- ポートフォリオのバランスを完全無視。資金管理のかけらも無い感情的なナンピン買い
これは誰しもが通る道になるかもしれませんが、これを克服しないと遅かれ早かれ、退場に追い込まれてしまいます。。
非常に危険な投資です!
というより、こうなるともはや投資と呼んでいいかも怪しいところですね。
神経質に損切りしまくる
分かりやすく、図に表してみました。
これはナンピン買いによる事例ではないのですが、以前の僕がよくやっていた失敗です。
ナンピン地獄のパターンよりはいくらか軽傷で済みますが、投資の教科書を読みたての初心者がよくやってしまいがちです。
投資やトレードに関する本を読んでると、しばしば見ませんか?
株価が買値から〇〇%落ちたら損切りしましょう、って。
ある上昇トレンド中の銘柄を買いでエントリー。損切りを買値から-5%のポイントとして、逆指値注文を設定。
損切りするところを最初から決めておき、なおかつ買値から割と近いところに設定するので、損失を極力抑えようという戦略です。
その代わり、含み益はどんどん伸ばす。
一見すると、損小利大の考えをベースとした至極真っ当な戦法に思えます。
でもこれ、結果から言うと、ほぼ勝てませんでした。
負けに続く負け。
日足以下の短期足を拡大してみると、上のような動きの荒い不規則なチャートになっていることがしばしばあります。
上昇トレンドといっても、短期的には上下を繰り返しながら上昇しているのです。
問題は、その上下幅。
これ、±5%なんて一日のうちで平気で動いてしまいます。
要するに、買値からたった5~10%程度の下落での逆指値なんて、範囲が狭すぎてすぐに引っかかってしまいます。
もう少し広く許容範囲を持てればその後の上昇を取れたのに、その前のノイズのような値動きにことごとく狩られてしまいがちです。
結果、確かに一回あたりの損失額はそこまで大きくはならないかもしれませんが、
利確をせずに損切りだけを神経質にし続けているうちに、あっという間に負け込みます。
損失を限定しているから安心と思いきや、このように残念なトレードになってしまうことが多いのです。
そもそも、損切りを買値から〇〇%下落という数値基準で決めること自体がすでにナンセンスですね。
なぜなら、それは完全に相場を無視した自分都合な決め方だからです。
相場は決して自分に合わせてはくれません。自分が相場に合わせていくしかないんです。
良いナンピン買いとは?
株価の底でたんまり買って、天井で全部利確する。
これが出来れば最高ですが、株価なんて誰一人として正確には予想出来ません。
よって、底値を読んで一度に全力買い、ということは基本的にしないのが鉄則。
そう考えると、最初に打診買いを入れた後、徐々に買い増しを入れていくというのが必然的に主戦略になります。
ちなみに株価が思惑通り伸びた後に買い増しする手法は、ピラミッディングという別の手法になりますので、ここでは紹介しません。
自分としてはあまりメリットを感じないので、特に覚える必要はないと考えています。
安くなったら買い増す
取得単価が低いというのは、それだけで有利です。
当たり前ですが、安く買えた分だけ利幅も取りやすくなりますからね。
よって、安くなったら買い増しして取得単価をどんどん下げていく。
ここまではOKです。
一番の問題は、ナンピン後の損失に耐えられるかどうかです。
せっかく良いナンピンが出来ても、その後の損失に耐え切れず損切りしてしまっては何の意味もありません。
ナンピンするコツとしては、自分がさほど痛くないと感じる程度のボリュームで買い増しをすることです。
よくいるのですが、株価がいずれ上がると信じている銘柄の株価が下がっているのを見て、
チャンスとばかりに大量に買いあさり、自分の資産ポートフォリオの大半をその銘柄が占めている状態になっている人。
これだと、仮にその銘柄が突然の悪材料などで株価急落したら、ダメージは計り知れません。
もし資産の全てを1銘柄に集中投下していた場合、ストップ安を一度でも食らうと
全資産の20~30%が1日で溶ける可能性が出てきます。
こうなると完全にリスクの許容値をオーバーしていますね。
絶対にやってはいけないナンピンパターンです。
適度なリスクとしては、1銘柄あたり多くとも全資産の20%程度の割合にとどめておく方が良いです。
このくらいであれば、ナンピン買いした1銘柄の株価が20%下落したとしても、全資産から考えると損失は4%。
これなら余裕で耐えられます。
ナンピン買い戦略
ここから、ナンピン買いを使った戦略について、図を使って解説していきますね。
ナンピン買いの入口
自分が狙っている有望な銘柄の株価が急落したら、買いの大チャンスです。
最初は無理せず、打診買い程度に少し買うくらいにしましょう。
十分安値で買えたと自分が考えていても、それ以上に株価が落ちることは当然あります。
そのときになったら、さらに買い増しをしていきます。
何段階かに分けて、少しずつ仕込む。
買いすぎて資産バランスが崩れないように注意しながら。
後は、株価が上がるのをじっくり待つだけです。
早ければ、買い増しから間もなく反発し上がっていくかも知れません。
ナンピン買いの出口
下がるたびにナンピン買いしたことで、最初に買い付けた株価よりもかなり安い取得単価になっているはず。
うまくいけば、少しの反発上昇ですぐに含み益に転じます。
その際、自分が少しリスクを取りすぎたと感じていたのなら、そこで一部利確してポジションを一旦軽くするのもOKです。
売るときは、ナンピン買いの逆です。
要は含み益を利確ラインまでずっと引っ張るのではなく、その手前の水準から徐々に利確していく。
それにより、一部利益を確保しつつ、再度下落に転じたときにまた買い増しをする体勢を作ることが可能になります。
利確ラインの半分地点まで到達したら〇〇株利確する!など、利確のペースは各人で自由に決めておけばいいかと思います。
ポジションが軽くなった後も順調に株価が伸びていき、機会損失をした!と感じることもあるかも知れませんが、
あまり欲張りはしない方がいいです。
利益をずっと引っ張り続けると、今までの含み益が一日の急落により無に帰する可能性だってあります。
上の図のように段階的に利確していっても、十分利益は得られます。
そのまま上がってもよし。下がったら買い増しするもよし。
株式投資で一番優先すべきは、
勝つことではなく、負けないことです。
ちなみに、ナンピン買いでの損切りをいつするかは、買うと決めたときの売買理由が失われたときです。
要因がファンダメンタルにしてもテクニカルにしても、とにかく株を保有しておく理由がなくなってしまった。
その時が来たら、迷わず即損切りしてください。

ハイリスクな個別株投資で生き残りたいのなら、その鉄の掟は守るようにしましょう。
まとめ
ここまでをもう一度おさらいします。
ナンピン買いについて思うこと
- 株価推移を正確に予測できる人は、結局誰もいない
- よって、一度のタイミングでの購入はリスクが高い
- 最初は打診買い、その後さらに買い増しというのが基本的な流れとなる。ナンピン買いになるのは必然
- 買い増ししても大してダメージを受けない程度のポートフォリオとなるよう、購入株数を考えることでナンピン買いははじめて有効に機能する
- 損失が問題ないレベルなら、ナンピン買いのメリットである取得単価の低減を効果的に利用できる
上記で紹介したナンピン買い戦略は非常に柔軟な売買手法ではありますが、その分売買する頻度は高くなります。
そのため、どこで買い増してどこで売却するの?
という大まかな相場観が全く分からない投資初心者の方がこれをすると、おそらく最初は少し混乱するでしょう。
でも、突き詰めて考えていくと、いたってシンプル。
下がったら買って、上がったら売る。
これを繰り返すだけです。
ある程度続けていくと、売買のリズムのようなものがつかめます。

という人は、ぜひ資金管理に注意しながら、このナンピン戦略を試してみてくださいね。
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