
ここ3か月ほどは、コロナショックからの見事なV字回復により、みんなにとって嬉しい株式相場が続いていますね。
信用取引をされている方々は、おそらくかなりの含み益を得ているのではないでしょうか?
今回はそんな信用取引が本来持っているリスクと恐ろしさについて、自分の体験談を織り交ぜつつ解説していきます。
この上昇相場が終わる前にぜひ、頭の片隅に入れておいてもらえればと思います。
信用取引とは
引用元:東海東京証券
信用取引を簡単に言うと、証券会社から借金をして、自分の資金以上の取引をすることを指します。
その際に保証金を証券会社に預けるのですが、最低30万円あれば信用取引が可能です。
レバレッジは約3.3倍。
要するに、元手が100万円あれば、およそ330万円分までの株式投資ができるようになります。
現物では手が出なかった値嵩株も取引対象に入れることができるというメリットがある他に、売りで利益を出す空売りという取引ができるようになるのが大きいですね。
信用取引のリスク
ネットで調べると、信用取引について
- 危ない
- やめとけ
といった、否定的な記事をよく目にすると思います。
では、何がどう危ないのか?
以下で解説していきますね。
レバレッジをかけるリスク
上記の通り、信用取引を使うと自分の資金の3.3倍の投資が可能になります。
ですが、損失への耐久力もレバレッジをかけた分だけ低くなります。
以下で、例を示します。
- 自分の資金 100万円
- 信用取引を使って300万円分のポートフォリオをつくる
こんなポートフォリオを組んで信用取引をしてみたとします。(分かりやすくするためレバレッジ約3倍の取引を想定)
数銘柄に分散していることで、一見すると損失の耐性も高そうに思えます。
ですが忘れてはいけないのは、自分が持っているお金はあくまで100万円であるということ。
例えば、ポートフォリオ内の銘柄Aの株価が20%下落した場合を考えると、
損失額は69万円×0.2=13.8万円。
この300万円PF全体から見ると4.6%の損失ですが、自分の資産100万円から見ると13.8%の損失です。
この時点で結構キツいですよね。
では次に、先日のコロナショックのような、日本株全体が等しく暴落する場面に遭遇して
銘柄A、B、C、D、E全ての株価が20%落ちたとしたらどうでしょうか?
その損失額は
- 銘柄A:13.8万円
- 銘柄B:12.6万円
- 銘柄C:10.8万円
- 銘柄D:9万円
- 銘柄E:9万円
合計、55.2万円の損失。全資金の半分以上がなくなる計算です。
特に新興銘柄については株価が半値まで下がった銘柄も数多くありました。この事実は覚えておくべきです。
こういった暴落は、最近だと数年に一度くらいの頻度でしばしば来ます。
要するに、信用取引とは諸刃の剣。
上昇相場には強いが下落相場には滅法弱いという明確な特徴があります。
信用取引ってなんとなく危ないんだろうな、という認識の方はすでに多いと思いますが、こうやって数字で見てみると、改めてリスクの高さが分かりますよね?
よって、相場が弱いときに信用取引をガンガン使うと、息をするように資金が溶けていくのは自明の理と言えます。

じゃあ、相場はいつ強くなっていつ弱くなるの?
それが分かれば苦労しません。
先日のコロナショックだって、前触れなくいきなり来たでしょ?
いつまた暴落に襲われるかも分からないのに、信用取引を使う。いかにリスキーか、何となく伝わったでしょうか。
現物だけで取引していれば、コロナショックレベルの暴落が来ても、退場まで追い込まれることはほぼありません。
ですが信用取引を全開で使用している人は、生殺与奪を常に相場に握られている状態になります。
せっかく資産が増えてきたのに、一度の暴落で資金の大半を溶かしてしまうなんて、めちゃくちゃ勿体ないですよね。
お金もそうですが、何よりそれまで積み上げてきた時間が全て無駄になります。
それでも信用取引をしたいという人は、
常にそういったリスクを抱えつつ取引しているという自覚を、忘れないようにしてくださいね。
信用取引の失敗例
レバレッジMAXのトレードを繰り返す
ここからは僕の失敗例です。
僕が信用取引を覚えたのは、2018年でした。
あの頃はちょうど米中貿易戦争の真っ最中で、株式相場は非常に不安定な状態でした。
そんなマズい状況の中、信用取引を全開で使っていた投資初心者の僕。
収支は以下の通りです。
こちらの記事から引用:日本株式投資の収支(2018年。やればやるほど奈落の底へ)
ひどいですよね・・・w
今こうして退場せずにいられてるのが不思議なくらいです。
初心者が不安定な相場で無茶するとこうなるという、これ以上ない程の良い例です。
おそらく、現在のようなコロナ後回復相場で同じように取引したら、ある程度マシな収支にはなってたかも知れませんが・・・。
このときは、資金の限界まで使って3.3倍トレードを続けていました。
急落後に逆張りで取ろうとしてさらに痛手を負うというネガティブスパイラルを繰り返した結果、損失は超速で膨れ上がりました。
注意喚起のため、僕のツイートを貼っときます。
初心者の方は本当に注意してくださいね・・・。
信用取引は魅力的ですが、
投資スタイルを確立してない時期から信用取引を始めると、間違いなく資金が枯渇します😫
僕は株式投資を始めて早々に信用取引を覚えましたが、その後半年ちょっとで100万円超負けました😱
全資産の50%強の損失💧最近はヌルい相場が続いていますが、その後は本気で注意⚠️
— きむきむ@情弱投資家🇺🇸🇯🇵 (@kimkim6341) June 19, 2020
空売りでこんがり焼かれる
信用取引における2つ目のメリットとしては、空売りが出来ること。
その空売りでも、僕はけっこう失敗してます。
先日のコロナショックで調子に乗って空売りし、失敗した例を以下の記事で書いていますので
気になる方は読んでみてください。

と考えたくもなるのですが、そう簡単なものではないですね。
なぜなら、株価の下落スピードは上昇時の倍以上だからです。
上昇時であればエントリーが少し遅くても利益を得られるチャンスがありますが、空売りの場合は、下落を見てからエントリーするのではすでに遅い!となっていることが非常に多いです。
それどころか、下落後の急反発に襲われるリスクがあります。
出遅れて空売りした結果、利益をほとんど得られない上に反発を食らい、すぐ損切り。
こんな取引を僕はこれまで死ぬほど繰り返してきた結果、空売りはリスクとリターンの割が全然合っていないと判断し、現在は封印しています。
まとめ
信用取引を使うというのは、
- レバレッジを利かせて自分の資産以上の取引をする
- 空売りをして下落も利益に変える
このいずれにしても、自分の資産をとにかく早く増やしたいというエゴからくるものですよね。
でも結果的には、資産は増えるどころか大きく減らしてしまう人が後を絶ちません。
特に投資初心者の方は、基本的に短期志向であることが多い為、この信用取引を使いたくなりがちです。
株式投資って、知らない人からすると短期間で何となく儲かりそうな気がしますもんね。
そう思うのは無理ありません。
でも、よく考えてみてください。
投資を始めたての赤ん坊レベルの個人投資家が、ヘッジファンドをはじめとする機関投資家がウヨウヨいる相場に丸腰で向かって行き、本で覚えたてのやり方で取引をして速攻で利益をブン取ろうなんて、マジで考えが甘すぎると思いませんか?
これ、まんま昔の僕に言ってあげたいことです。
信用取引を始めていきなり利益を得られていたとしても、それは自分の実力ではありません。
相場にたまたま勝たせてもらっているだけです。
いつまでにいくらお金が欲しいのかは人それぞれ違いますが、基本的に焦っても良いことはありません。
ちなみに・・信用取引がなくても、空売りしなくても、株式投資は十分に勝てます。
安いところで買って高いところで売る。これが出来るようにしっかり資金管理しておけば大丈夫です。
いつまた下落相場に直面してもいいように、相場がどう動いてもいいように、体勢を整えておくこと。
リスクは適度に取ること。
これを常に頭に入れておきたいですね。

僕のような無茶な投資で後悔する人が、一人でも減ることを願っています。
何度でも言いますが、株式投資で一番大切なのは、まず生き残ることです。
初心者の方は一旦それだけを考えましょう!