
今回は、投資における「握力」について考えてみます。
握力が強いと投資で勝てるの?メンタルを鍛えないとダメ?
この辺りについて、例を出しつつ少しだけ深堀りして書いていきます。
ぜひ、ご自分の投資スタイルと照らし合わせながら読んでみてくださいね。
目次
投資における「握力」とは
投資をしていると、握力といった言葉をよく目にしますよね。
投資における握力とは、自分が買った株を売らずに持ち続ける力という意味で良く使われています。
個人投資家の中では、
- 含み益が少し出たらビビッてすぐ利確してしまう
- 損失が少し出ただけで怖くなって損切りしてしまう
などで、握力が足りない!という言い方をしたりします。
一般的に投資の世界では損小利大を目指していくのが王道なので、利益は可能な限り大きく伸ばすのがセオリー。
そのときに大事になってくるのが、握力というわけですね。
ただ、握力が強いといっても、例えば以下のようなパターンは別です。
これって握力?
- 買った当初に自分が決めた基準は、既に失われている。
にも関わらず、損失を確定させたくない気持ちが働き、ダラダラと保有を続ける。
こんなのは握力とは言いません。
ただの思考停止。
絶対にやってはいけない最悪の塩漬け行為です。
本当の握力とは、自分が定めた基準が失われない限り、何があっても保有し続ける力だと思うのです。
もう一度言いますが、何があってもです。
例え買った株が半値になろうとも、最初に自分の決めた基準から考えて許容範囲にあるのなら、保有継続する。
といった具合です。
(半値はかなり握力強めの方ですが・・・)
逆に言うと、その基準が失われたら、有無を言わさず即損切り。
これを実行するのにも、握力とはまた違った力が必要になってきます。
要は、何が言いたいかというと、
自分の決めた軸に忠実に従って
- 保有する
- 売却する
を迷いなく行える力が、投資において絶対的に必要だということです。
雰囲気で投資すると起こる弊害
というのも、世間の投資家さんを見ていると



というように、雰囲気でなんとなく投資をしている人がめちゃめちゃ多いように思います。
周りに感化され、とりあえず投資を始めてみた。
これは素晴らしいことです。
それだけでも、迷った末に何もしなかった人と比べると遥かに前進していますので、それについて反論する気は全くありません。
ですが、その状態のままずっと時間だけが経過するのはマズいです。
つい最近のように、世界的な株高が続く局面であれば、その問題はあまり表面化しないかも知れません。
適当に売買をしてても、ある程度の利益を生み出せることもあるでしょう。
問題は、その後の不安定な相場が来たとき。
投資を長く続けていくと、自分の感情を激しく揺さぶってくる様々な場面に遭遇します。
以下で、パターン別に見ていきましょう。
インデックスに長期投資したのに損切りする人
株式投資において最も高確率で勝てるのが、株価指数(インデックス)に連動するタイプの投資信託やETFに長期投資すること。
紆余曲折はあるものの、長期目線で考えると、世界的には人口増加とともに経済拡大が今後も進んでいくと一般的に予想されています。
それが本当なら、何も考えずにインデックスにひたすら資金を投入し続けていくだけでも、結構な資産を作れるかも知れません。
よって、インデックス投資家は当然、長期的な経済拡大を信じて、投信もしくはETFを買ったはずです。
しかし、突然の調整相場に見舞われ、世界的な株安状態に。
一気に膨らむ含み損。
・・・ここで怖くなって損切りする人、たくさんいますよね。
今回のコロナショックがまさにそうです。
底が見えず、一向に止まらない暴落。
訳も分からず急いで損切りした投資家の方も多かったことでしょう。
でも、そういう人に聞きたいのですが、あなたはなぜインデックスに投資したんですか?
長期的に見ると高い確率で経済成長をしていくと予想したからですよね?
その前提はまだ失われていないというのに、ただ含み損が大きくなってきたという理由だけで売却し、投資を終わらせる。
やっている事が支離滅裂だと思いませんか?
前提が崩れない限り、どんなことがあっても保有を継続する。
インデックスに投資するならなおさらです。
インデックス投資で損切りをするというのは、その投資先の経済状況が今後どんどん縮小していくと予想するのと同じです。
ちなみに・・・
いったん損切りして、さらに株価が落ち切ったところで再度買いなおすという戦略を取っている人も良くいますが、長期投資においてはあまりオススメしません。
だって、どこが底なのかなんて誰にも分からないですもん。
下手すると、自分が思ってたよりはるか手前で反発上昇の場面が訪れ、壮絶な機会損失に見舞われ、枕を濡らすことになるかも知れませんし・・・!
短期トレードの予定がいつの間にか長期投資にシフトしてる人
次に、短期トレードのようにテクニカル分析を根拠にエントリーした場合を考えます。
テクニカルが根拠で買ったなら、損切りするポイントについてもテクニカル根拠で自ずとすぐ決まるはず。
そこで、銘柄購入とともに逆指値注文を設定。
しかしその後、株価はズルズル下落を続け、自分が逆指値注文を置いている水準の一歩手前まで近づいてきたとしましょう。
この後、自分が当初設定した逆指値注文を、あろうことか取り消した末に含み損をさらに大きくする人が大勢います。
昔の僕もそうでしたから、気持ちはよく分かります。


短期でトレードするつもりだったのに、損失を確定させたくない気持ちが先行しすぎた結果、このようにマインドチェンジしてしまう。
こういう人、本当に多いです。
断言しても良いですが・・・
損切りを回避する目的で、当初決めた投資の時間軸を延ばしてしまう時点で、もうあなたの負けは確定です。
結果的に反発し、損失額が少なく済んだ。もしくは運良く含み益に回復した。
としても、もう負けなんです。
切るべきところで切らない。
真っ当な理由を見つけて自分を正当化しがちですが、やっているのは当初の自分が下した正当な判断を捻じ曲げる悪手です。
こんなことを繰り返していては、自分の投資スタイルなんて確立出来る訳ありません。
いつまでたっても投資=ギャンブルの状態から脱却出来ないまま、時間だけが過ぎるでしょう。
握力を強くするための方法
では、その握力もしくは断ち切る力を強くするにはいったいどうすればいいのか?
それは、自分が投資する対象について、事前に自分自身で調べて十分に理解することです。
簡単ですが、本当にこれだけです。
メンタルの強さはほぼ必要ありません。
自分が投資している対象についての知識があれば、自分が保有継続すべきか切るべきか、ある程度判断した上で行動に移せるようになっているはずです。
ちょっとした値動きで心揺れてしまうのは、メンタルが弱いからではなく、
自分が投資している対象についての知識が不足しているため、自信を持って投資できていないだけです。
例えばインデックスの投資信託(ファンド)であれば、
- 投資組み入れ銘柄の数および割合
- 各種手数料
- 過去の実績、他のファンドとの比較
- 今後の展望
など、ざっくりでもいいから自分で調べてみる。
短期トレードについては
- 銘柄による値動きのクセ
- 日々のボラティリティーの平均的な幅
- 自分が良く使うテクニカル指標で見たとき、売買シグナルが出ているか
- どの程度の利幅が見込めるか
この辺りはとりあえず見ておいた方がいいと思います。
といったように、
自分の命ほどに大事なお金を預けるのですから、ある程度の下調べは当然やって然るべきですが、
これも人それぞれ、意識は違うようです。
そういった各人の意識の違いが、
自分の資産運用は果たして投資なのか?ギャンブルなのか?の分かれ目になっていくのかも、と考えています。
まとめ
投資における握力。
これをしっかり保つには、投資対象を自分で調べて自分で納得すること。
自分で考えず他者依存で買った投資対象は、何か不測の事態が起こると感情が揺さぶられ、結果的に根拠のない売買判断を下してしまいます。
何となく買ったものは、何となくでしか売れません。
株式相場に対して丁半博打のような刺激を求めている人であれば、僕から何も言うことはありません。
ですが、投資の時間軸が短期であろうと長期であろうと、相場と長く付き合って確実に資産を増やしていきたいなら、
ギャンブルを投資へ昇華させる何らかの行動がやはり必要だと思います。

こんな楽しく刺激的なこと、滅多にないですよね!
ではでは、皆さんも日々楽しい投資ライフを。