

こんな本をもっと早く読みたかった!と思わせてくれる程、自分にとっては感銘を受けた1冊です。
という本です。
本書の著者である奥野一成さんは、信用金庫、証券会社、を経て農林中央金庫に入行されている、いわゆる金融のプロ。
投資の神様と呼ばれるあのウォーレン・バフェットと類似したスタンスの投資を行う数少ないファンドマネージャーです。
思考としては非常にリアリスト。
巷にある様々な投資スタイルについて、良くないと思うものはバッサリと斬り捨てる文言での語り口となっており、読んでいて痛快とも言えるくらいです。
投資本としては非常に読みやすい部類で、初心者の方でも取っつきやすい内容になっています。
僕の思想とも合致するところが色々とあり、読んだ後の満足度はかなり高かったです。
その中で、僕にとって特に印象的だった項目を要約し、以下でご紹介します。
目次
近年における日本の経済成長が鈍化している理由
それは、戦後の高度経済成長を経験したときの成功体験を忘れられずに、いつまでも引きずっているのが主因。
昔の日本は、モノを安価で大量生産して海外で売りまくるスタイルを駆使し、一躍世界トップレベルの経済力を持つまでになりました。
しかし、それが出来たのは当時の日本の人件費が安かったからです。
現在では人件費が高騰してきたことに加え、東南アジアをはじめとする海外の途上国の技術力向上により、日本のモノづくりの優位性はかなり薄れてしまいました。
今となっては、日本製であろうが外国製であろうがクオリティはさほど変わらないものが増えてきている状態。
それなら、より安価な製品へと需要が移っていくのは必然です。
にも関わらず、 モノづくりで日本を先進国へと押し上げた過去の成功体験をいつまでも引きずり、汗水たらして懸命に働くことが美徳とする根性論が未だ払拭できていない、時代遅れな企業ばかりだというのが真因だと説いています。
一度先進国となってしまった日本で、モノの大量生産で天下を取ろうと考えるのは、もはや見当違いも良いところです。
そして、企業がそうならば、そこで働く社員たちのマインドもまた然り。
一生懸命モノを作って売って、それでやっと手に入るものがお金。
お金とはそういうものだという、強い刷り込みがあります。
こんなモーレツな時代で育ってきた親世代にとって、投資は皆一様に懐疑的です。
そんな教育など受けていないのだから、当然ですね。
ちなみにうちの親もそんな感じです。
投資という言葉に拒絶反応すら起こしそうな雰囲気。
そんなこともあり、僕が様々な対象に投資している事実は、今日に至るまで親に話したことはありません。
申し訳ないのですが正直言って、彼らに理解できるまで説明しようとするのは時間の無駄だと思うからです。
とりあえず、怪しい話が親の周りに舞い込んだら、変に騙されないように監視だけしておく位で十分かと。
なぜ日本の株式は投機的な対象に成り下がっているのか?
それは、長期的に利益が増え続ける会社が圧倒的に少ないからに他なりません。
株価指数にもそれがよく表れており、日経平均株価と米国のS&P500のチャートを比較すると、残酷なまでによく分かります。
よって、株価が月足ベースで右肩上がりになっている銘柄も少ないです。
日経平均株価が未だに30年前の高値を未だに更新出来ていない時点で、もうお察しですね。
したがって、どうしてもみんな、
株価がある程度上がったらすぐ利確して保有をやめてしまうスタイルにならざるを得ません。
長期的に株価が上がっていく見込みが立たないのだから、当然のことです。
みんながそうやって短期で売買するから、バイ&ホールドが基本の米国株に比べて右肩上がりになりづらく、かつボラティリティの高い不安定な相場が形成されてしまいます。
この状態は、日本株全体の長期的成長が見込まれない限り、ずっと続くでしょう。
この現実だけ見ると悲しくなってしまいますが、日本株のボラの高さは短中期でトレードする人にとってはメリットではないでしょうか。
右肩上がりだけど一日の値動きはさほど大きくない米国株、とはまた違った需要があるでしょうね。
会社が成長するために最も必要な要素
それは、利益を守り増やしていくための参入障壁をどれだけ高く築けるか、です。
参入障壁。
著者が本書で最も強調している言葉で、幾度となくこのワードが文中に登場します。
参入障壁とは、会社がある業界に新規参入しようとするときに、その参入を妨げる障害のことを指します。
もっと嚙み砕くと、例えば・・・
他社が真似しにくいビジネスを持っているなら、その会社は高い参入障壁を持っている。という言い方をします。
真似しにくいというのは、
- ブランド力が高い
- 独自の技術力
- 圧倒的なシェア
このあたりのいずれかの要素を満たしていることが多いですね。
要するに、いくら需要があって社会に高い価値を提供できるようなビジネスモデルでも、後で出てくる若い会社にいとも簡単にパクられるようなものでは、事業の継続的な成長は難しいということです。
そういう意味で例を挙げているのが、外食産業です。
これ、やろうと思えば誰でもすぐ始められるので、参入障壁はほぼありません。
上場ゴール(上場時が株価のピーク)となっている外食銘柄が量産されているのはそのためです。
一瞬は周りを出し抜けたときがあっても、時間の経過と共に新規参入の同業者がどんどん出てくるので、自分たちの優位性はどんどん弱まってしまうんですね。
よって筆者は、こういう参入障壁の低い銘柄に長期投資しても資金効率が悪く、時間の無駄だと言っています。
さらに、優待だけが目的で銘柄を保有するというのは全くもって意味不明とまで斬り捨てています(笑
僕は意味不明とまでは思いませんが、まあ概ね同意ですね。
優待が好きで、これが楽しみ・生きがいなんだ!ほっといて!
という人には、何も言える事はありませんし、否定する気もありません。
しかし、純粋に利益を求めて投資をしているのなら、成長余力に乏しい優待銘柄に手を出している場合ではありません。
生まれた利益は企業の成長の為にどんどん投資してもらい、あとあと株価上昇という形で恩恵を受けられた方がずっと資金効率が高いと思います。
長期投資に向いている銘柄を見分けるポイント
よって、著者は株式に長期投資するなら、以下のポイントを両方満たす銘柄を探すように説いています。
長期投資向けの銘柄の特徴
- 高い付加価値を持っている
- 高い参入障壁を持っている
もしこれらを満たす会社は、うってつけの長期投資銘柄になり得ます。
それは、どんな銘柄なのか・・・?
簡単に例を挙げましょう。
GAFAです。
投資家さんには説明するまでもないでしょうが、
G・・・Google(グーグル)
A・・・Amazon(アマゾン)
F・・・Facebook(フェイスブック)
A・・・Apple(アップル)
このお馴染み、アメリカの超絶モンスター企業4社のことですね。
もう説明不要でしょう。
すでに社会のインフラになっている時点で、付加価値および参入障壁は最強レベルです。
今さらこの巨頭に勝負を挑もうなんて考える同業他社など、出てきようが無いでしょう。
ここに投資しろ!と言っているわけではありませんが、
要するにこういったポイントを押さえている、もしくはこういう企業に成長するかも?
と考えられる銘柄に投資することが、株式投資で利益の最大化には最も近道だということです。
ただ、実際に日本株で上記両方を満たす会社はないか?と探してみても、なかなか見つかりません。
いずれか一方、なら色々と見つかるんですけどね。
そして、見つかったとしたら、その銘柄の株価を見てみてください。きっと大抵が、すでにかなりの値がさ株になっているはずです。
ファストリ然り、任天堂然り、オリエンタルランド然り・・・。
圧倒的ブランド力、圧倒的シェア、付加価値の高さ。
これらの銘柄は、株価が高まる要素を挙げるとキリがない程出てきますよね。
こういう目線で見ると、株価というのは企業の本質的価値を長期的にはしっかり織り込んでいくものなんだと、改めて分かりますね。
考えてみると当たり前ですが、株価が高いのはそれ相応の理由があるという事実を意識しておいた方が良いです。
そんな長期的に利益を伸ばし続ける会社へ成長する可能性に、まだ誰にも気づかれていない銘柄。
どこかに眠っているかも知れませんね。
もちろん、探し出すのはとんでもなく難しいのですが、それを他の誰よりも早く見つけて投資出来れば、もしかすると一生安泰と言えるくらいの大きなリターンを得られるかも?
とだけ、言っておきます・・(笑
その他
他にも面白い内容があるのですが、これ以上書くと長くなるので、抜粋を少しだけ・・・。
続きは本文にてどうぞ!
その他、面白かった内容
- ○○のみをマーケットにしている会社は、もはや無理ゲー。
- 株価指標だけで投資対象を決めるのは間違っている。
- テクニカル分析は○○と何も変わらず、ほとんどアテにならない。
- 情報をただキャッチしているだけの人は、思考停止の情弱と大差ない。
- 為替リスクをゼロにすることは不可能

投資初心者の方であれば、色々と参考になる本を探している事と思いますが、これはその最初の1冊として最適です。この本に投資した以上のリターンはすぐに得られるでしょう!
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