

今回も良い本を読めました。
投資家必見です!
今回ご紹介する本はこれ。
本の表紙にもある通り、ジム・ロジャーズ(以下、ロジャーズ氏)とは、
あのジョージ・ソロスと組んでクォンタム・ファンドと呼ばれる大規模なヘッジファンドの運用を行って莫大な財を成したという伝説的な投資家として有名です。
今回のコロナショックを経て、世界はこれからどう変革していくのか。
ロジャーズ氏本人がこれまでの過去の経験から考察し、我々に忠告するという形で書籍化されています。
こんな人にオススメ!
- 過去にどんな危機が世界を襲ったのか知りたい人
- ジム・ロジャーズの投資思想を知りたい人
- 過去をもとに今後来るであろう危機にどう対処するか考えたい人
内容としては全体通して読みやすく、投資初心者、というより投資を知らない人でも十分理解できる本になっています。
逆に言うと、投資を長い間やってきている人にとっては、投資手法に関して新たな知見を得られるような内容は書いていません。
書いてある投資思想だけで言うと、投資をする上では当たり前だという話が大半です。
ただ、ロジャーズ氏の長年の勉強と経験からくる歴史に関する話は非常に興味深く、これまで世界はどういう危機に直面し、どう乗り切ったか。
その大枠をこの一冊はわかりやすく教えてくれましたので、僕としては今後の投資判断をしていく上でかなり有益な情報を得られたと実感しています。
以下でちょっとだけ、僕が特に印象に残った点をご紹介しますので、参考までにどうぞ!
失われた30年を過ごすハメになった日本
日本がなぜバブル崩壊後、”失われた30年間”を過ごされければならなかったのか?
それは、多額の債務を抱えた企業達が破たん処理することを恐れ、問題のある企業を無駄に延命させるようなカネの使い方をしたこと。
それが最大の原因だと、ロジャーズ氏は説いています。
本来なら、危機とは、もともと問題を抱えた企業は淘汰され、新たな企業が力強く立ち上がっていく。
そんな健全な新陳代謝を促す絶好のチャンスであるとも言えるのですが、それを乱すような政策を取り、国としての成長にブレーキをかけてしまったのです。
経営失敗の責任を取らせずに企業を無条件に支える。こんなことをしていては今後の発展はありません。
今回のコロナショックについても、おそらく多くの企業が倒産に追い込まれることでしょう。
しかしそれに変わる新たな経営者が現れ、不良資産を再編成し、会社を健全な状態にして再建する。
厳しいようですが、このようにして基礎疾患を抱える経営の”膿”を出し切るようにしないと、コロナ収束後の経済発展は望めません。
インドの実情
インドと言うと、人口は中国に肉薄するほど多く、かつ、まだ発展途上の状態。
今後の経済発展の伸びしろは大いにある。
これが、多くの日本人の考えではないでしょうか。
ですが、本文にこんな記述がありました。
インドには、赤字続きで本来なら倒産すべきなのに生き残っている”ゾンビ企業”が多数存在する。
これは衝撃でした。
実はこのゾンビ企業。
インド企業全体の3割に上ると言われているようで、経済成長する上では間違いなく足かせとなっていく要素です。
これ、知らない人はけっこう多いんじゃないでしょうか。
また、インドの経済は非常に制限され、規制が多いようです。
例えば、農民を保護するためなのか、”5ヘクタール以上の土地を保有することは出来ない”といった制約がある。という具合です。
市場は厳しく管理され、小売業の外資は地元の小売業者に危険をさらすとの考えで受け入れられていないといった面もあるなど、自由経済とは程遠い状態。
そんな閉鎖的な状況が続くインドでは、今後の発展に期待するのは難しいのではないか?と、ロジャーズ氏は考えています。
過去に起こった経済危機
1929年に起こった世界恐慌は有名ですが、それが実際に世界へどのような影響を及ぼしたか知っている人はあまりいません。
その当時の概要も、本書には記述されています。
恐慌が連鎖し、世界中の銀行が破綻。
そして、1931年。イギリスのイングランド銀行が資金流出を防ぐために、金本位制を停止。
さらに、自国産業を守るために、関税を引き上げてブロック経済化。
これらの影響を受け、アメリカの株式市場は、実に90%も下落したのです。
ちなみにNWダウ平均で例えると・・・
2020年8月現在ではおよそ27000ドルなので、-24300ドルもの下落!
昔と今とは状況が全く違うので、流石にここまでの下落が今後来るとは考えづらいですが・・・恐ろしいですね。
この際も、政府はなんとかしようとお金をジャブジャブ使いまくったことで一時的に株価は回復したようですが、1937年に再び暴落し、50%もの下落。
株価テコ入れはしたものの、それが人工的なものだったためではないかとロジャーズ氏は言及しています。
でもこれって、コロナショック後に実体経済とかけ離れた株価回復を見せている現在と、状況が似ていますよね。
人が人である以上、歴史は繰り返すもの。
そう考えると・・・なんだか恐ろしくなってきました。
危機から得られる教訓とは
本書内の一部のみ切り取ってご紹介しましたが、興味を引くものはありましたでしょうか?
最後に、投資活動を今後していく上で教訓となりそうな要約を少しピックアップしましたので、まとめておきます。
過去の危機からの教訓
- 好景気が長く続けば続くほど、その後の不景気の谷は深く、長くなる。
- 市場は常に不合理。時には狂ったように振る舞うこともある。
- 「今回こそは違う」という言葉は、最もリスクが高い勘違いである
- 危機のときこそ、辛抱強さが問われる。
- 経済が低迷すると、すぐに責任を外国へ求める傾向がある
- 不況が続くと、戦争のリスクが高まる
- 危機は同時に、新たな技術革命を起こすためのきっかけにもなり得る
今回のコロナショックが過去に起こった危機と同じような行く末を辿るのかは分かりません。
しかし、過去の歴史について学び、これからどういったタイミングでどういう投資判断を下していくのかを考える。
そのための材料として、間違いなく本書は貴重な1冊となるでしょう。

自分の投資家としての知見が間違いなく広がりますよ!
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